新宿のデカ
 島田が呼んできたので答えると、


「考え事?」


 と訊いてくる。


「まあな。俺も人間だし」


「トノさんも俺とコンビ組むまでは、本庁の二課にいたんだからね」


「そんな思い出話止めてくれよ。あの時代は終わったんだからな」


「でも、気に掛けてるんだろ?」


「ああ、少しね。気にならないって言えば、ウソになるし」


 軽く笑うと、島田が、


「二課にいた頃は単独で動いてたの?」


 と訊いてくる。


「いや。あの時の相方は、今、二課の課長補佐の小松だった。キャリア組で、準キャリアの俺とは違う」
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