管狐物語
序章 過去の思い
…何が起こったのか、わからない
目の前が赤く染まり、全身に温かい液体が自分の身体をまとう
そんな中でも、「彼女」の背にかばわれていること…
そして、この温かい液体が愛しい「彼女」に流れているものだということだけを頭のほんの片隅で理解する…
わからない
なぜこんなことに
「彼女」がゆっくりと自分の方に倒れ、
「彼女」をかき抱き、何度も、何度も名前を呼んだ…
ワカラナイ
身体中の血が沸き立つ………!
その後は、分からない…
自分がどうなったのか…
仲間達がどうなったのか…
「彼女」の仇はとったのか…
ただ、分かっていることは、愛しい「彼女」は、もういないということ…
もう声を聞くことも、触れることもできないということ
ただ…ただ、それだけだった…