管狐物語
……私に力が?
とくん…とくん…となぜか胸の奥が、じんわりと熱くなっていった。
「人間化については、我らもそれなりに妖力はありますから、なんとかなります。
やはり、この小さな姿では、姫をお守りすることは出来ませんし」
「え?
ま、守るって何から?…ですか?」
こんな平和な日本で、何から守るというのか…
「管狐は、主の願いをなんでも叶える事ができます。
まあ、なんでも絶対!という訳では、ありませんが…。
しかし、ある程度の事はできます。
管狐の力は、この村にはずっと云い伝えられてきましたから、やはり、この力を狙うもの達は、出てくるのです」
「え?じゃ、じゃあ、村の人達が皆狙ってくるの?」
「いいえ。
この時代の人々が、まだ我らの力を信じるとは思えません。
そうですね…。
この村に永くから住む妖と……
我らと因縁があるもの達だけです…」
ピリッと空気が緊張したのが、分かった。
管狐達は、そろって真面目な顔になる。
怒り、悲しみ…全てが溢れてくるようで、なぜかそれ以上は、聞けなかった…。