日本暗殺
第一章 別れの価値は
夜明けの光と微かな匂い
包み合う二人の世界が寒さを緩和し、始まりの予感に満ちた空気が私達を包む
静かだった
安らかだった
今過ぎ去ってしまう、この優しくて柔らかな時間を惜しむように、私はさりげなく、隣で静かに寝息をたてて眠っている希里斗(きりと)にもたれかかるように腕を絡めた
ゆったりとしたネグリジェの下で、豊かに張った乳房が、ちょうど希里斗の肘に押されて潰れた
「…ぅうん…」
小さく言った希里斗だったが、目を覚まそうとはしない
私は思わず、絡めた腕に力をこめた
まだ眠気を残す希里斗が、何かを察したように上体を起こす
そっと近づく唇が、静かに私の唇と触れ合って離れた