日本暗殺
小さな音を奏でながら、そっと路地を吹き抜ける冷たい風も、不安を掻き立てるには十分すぎた


私はそれでも、希里斗の背中を追い続けた


薄暗い路地を抜け、ふと見渡すと、沈みかけた夕陽ですべての街並みを悲しいほど綺麗に、空が一色に染めていた


手を繋ぎ、二人で見た夕焼けも、格別なまでに綺麗だったことを思い出す


希里斗も同じように覚えていてくれたなら、それほど嬉しいことはない


不安や恐怖より先に、私は瞬間、確かにそう思った




でもその数十分後、私の恐怖は意外な形で現実のものとなる



私は希里斗に隠された本当の姿を、目撃する



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