日本暗殺
次第に辺りが薄暗くなり、先に見ていた希里斗の背中も、街灯の光でのみ、確認できるほどになっていた


住宅街に入り、細い道をいくつか曲がったところで、ようやく希里斗が立ち止まった


とっさの判断で、私はすぐ隣に見えた電柱の影に身を隠す


立ち止まった希里斗の目の前にあるのは、薄暗い光にてらされ、ぼんやりと浮かぶ古くなった一軒家


静かに辺りを二度、見回した希里斗だったが、この暗い中電柱の影に隠れていた私には気がつくことなく、わずかな灯りをともすその家の中へと入って行った



―ここは?―



一呼吸おいた私は、そっと灯りのほうへと歩みよる




迷いはなかった



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