日本暗殺
幸い、外からでも灯りのある部屋からはわずかではあるが、人の話し声が聞こえていた


私はそっと、ぎりぎりのところまで歩みよる


ドクッドクッと私の心音が、はっきりそれとわかるほどその鼓動を早めた


裏口に面したその部屋にあった窓ガラスの下に、私は静かにしゃがみこみ、近づいた



ようやく耳に捉えた誰かの声は、聞き覚えのない声だった



「…首相官邸を襲うのはまずい。まず手始めに殺るのは官房長官の斎藤。それから法相、さらには警察庁長官。総理は最後だ」



(――…なに?何を言ってるの?!)



「そうか?警戒された上で総理を殺るのは困難だぞ?」



答えた声はまぎれもなく、希里斗のものだった


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