日本暗殺
「もう一度聞こう。なぜここにいる?」



私は、何がしたかったのだろう


何を求めていたのだろう


希里斗の笑顔?


別れの理由?


それとも、こうして泣き崩れる、自身の姿?



涙と共に、次々と迫る嗚咽が、私の声を奪う


「――だって……だって…」


希里斗は知らないのだ


大好きな人が、突然いなくなるという悲しみを


引き止めることが出来ない虚しさを


夢にまで見る愛しさを


諦められないという苦しみを


多分希里斗は

知らないのだ


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