日本暗殺

いくらか迷った挙げ句、ようやくたどり着いた時には既にもう、辺りは暗くなっていた


あの時見た灯りもなく、漆黒の闇の中にうっすらと浮かんだ程度にしか見えなかったが、確かにあの時見た一軒家が、そこにはあった



怖くなかったと言えば当然、嘘になる


でも迷いはない


取り出した携帯を手にダイヤルを押し、希里斗がでるのを待つ


一回、二回とコールがなる


五回目を過ぎてもまだでない


高鳴る鼓動は今にも音になって聞こえてきそうなほど、激しく波打った



「――はい?」


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