日本暗殺
私が近づくと希里斗は無言のままドアノブに手をかけた


「待って」


希里斗の手がドアノブにかけられたまま静止する


「私…本当にいいの?」


ほんの数秒、希里斗は何も答えなかった


「――これ以上、何が隠せる?」


私の目には、振り向いた希里斗が少し、微笑んだかに見えた


「君はもう、すでに、知りすぎているからね」


言葉と同時にカチャッと小さな音を残し、希里斗はその扉を開けた


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