HAWKE BRIGHT
「……猫を、取り返してほしいんです」
深刻な面持ちから発されたのは、この一言であった。
「取り返す……? ひとまず、こちらへ」
「すみません」
山城は眉間に皺を寄せると、依頼人を奥の事務室へと促す。
そして、そっと漆黒のソファに座らせた。
机を挟んだその対面には、山城と二見の2人。
「山城です」
「二見です」
各々に頭を下げると、スッと名刺を差し出す。
「あっ、どうも」
「沼田さん。貴方はさっき、猫を取り返してほしいと言いましたね」
「は、はい……」
「何があったんですか?」
すると男は、一度きゅっと口端を固く結んだ。