HAWKE BRIGHT
「“私立探偵事務所HAWKE BRIGHT(ホークブライト)”? 何だこれ」
机に置かれた、見覚えのない封筒。
眉を顰める男――神名恭介は、溜め息の後、躊躇いもなくそれをゴミ箱へ投げ入れた。
「ねぇ、見てくれた?」
と同時に、ある女は鼻歌混じりにガチャリとドアを開けた。
ある女とは、恭介とは5つ歳の離れた実の姉である、神名美風(じんな みかぜ)
「やっぱ、姉貴の仕業かよ」
「仕業って何よ、仕わ……って、あぁ!?」
ゴミ箱に横たえる哀れな封筒を確認するなり、彼女は大きな声を上げ、ショートの黒髪をぐしゃりと握った。
それから直ぐに封筒を救い出すと、怒りを露わにそれを強く机に叩きつけてみせた。
「恭介……? 何で捨てるの」
「……何でって、別に要らねぇし」