愛されることの奇跡、愛することの軌跡
私も成瀬川とはちょっとだけ関係ある。

なぜなら、私の通う高校は

成瀬川学院高等部
通称"ナルガク"

私立の最高峰…ではないけど、とにかくお金持ちが通うセレブ学校かな。

まぁ、私は普通の家に育っているのにこの学校に通っているのは前から疑問だったけどね。

しかも成瀬川学院のいち生徒なだけだし、この人にはさらに関係ない。

「戻らなくて、いいの?」
『あんな猫背負って愛想笑いばかりしている奴らとか、女は香水臭いし、そんなところには戻りたくないんだけどなぁ。ま、ある意味宴をサボっているという意味では、君と一緒かな』

"ケンゴさん"はそう言って苦笑いした。

『君は俺と違って夢を持てる環境だろ?うらやましいよ』
「でも、小学校の先生やっているんでしょ?夢じゃなかったの?その職業」
『…夢は、叶ったよ。だからもういいんだ。さて、そろそろ戻らないと、さっきのヤツがうるさいから』
「あ、うん」

私は、もう少し話したい気分だったけど、悲しい気持ちも紛れた。
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