愛されることの奇跡、愛することの軌跡

『そう。同窓会の会長。この学院に多額の寄付をしているの。その親を怒らせたら、どうなるか分かってる？』

何だか、いつもに増して刺々しいユウコちゃん。

『やれるものならやってみな。過去の先生たちのようには行かないから』

そうか、ユウコちゃんは健吾さんが成瀬川家の人間だということを知らないんだ。

『近いうちに学院長から呼び出しがかかるから覚えておいてちょうだい、アハハハ』

ユウコちゃんはそんな"捨てセリフ"を残して、かばんを持っていなくなった。

捨てセリフが好きだなぁ、何回聞いただろ？
でも、先生を脅すようなセリフは、初めて聞いたかも。

いなくなってしばらく沈黙があった。

沈黙を破ったのは、健吾さんのため息だった。

『はぁ、アイツはやっぱり、問題児だったな』