愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『モテないよ。よく言われたんだよ。サイボーグとか、クールダンディとか、笑ってないぬいぐるみとか』

私はクスリと笑ってしまった。

『あ、笑ったなぁ?』
「さっきのユウコちゃんとのやりとりは、ホントサイボーグだったよ」
『あれは、許せない気持ちがあったから。私情を挟んじゃいけないだろうけど、玲奈を傷つけるやつは、絶対断罪したかった』

再び、私の肩に手を置くスタイルになった。

『でも、引き継ぎで田村先生から話を聞いた時点で、既に俺じゃなくても問題児と感じてる先生は多いことは分かってたから、キツめな言い方をしても問題ないだろ、と判断したんだ』

そう言うと、私の肩から手を外して、椅子に寄りかかって正面を向き、そして健吾さんの右手は、私の左手を握った。

『去年の春、一時期休職してなかった?田村先生』
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