愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「健吾さん、大丈夫だから」

私は健吾さんの肩を叩き、お父さんを見た。

「だから私、もう一度頑張る。頑張って東都大を目指す」
『玲奈…』

お母さんがにこやかに私の名前を呼んだ。

「動機としては、不純かも知れない。でも、健吾さんと同じ大学を目指したいの。同じ経験を積んで、どんなことがこれからあったとしても、健吾さんの役に、少しでも立ちたい」
『わかったよ、玲奈』

お父さんは私にそう言った後、健吾さんに顔を向ける

『先生…いや、健吾くん』
『はい』
『玲奈は学校ではかなり大人しい子だとずっと通信簿に書かれていた。家ではうるさいくらいによく喋る、活発な子なんだけどな。なぜだと思う?』
『それは…』

健吾さんは、うまい言葉が見つからないみたい。
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