愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ただ、親父は実穂をめちゃくちゃかわいがっていて、離婚時も親権も養育権も渡してくれなかったんだ。だからひとりで良美さんは、俺を産んだ』
健吾さんは立ち上がって、良美さんが作りかけの花の1本を手に取った。
『暫くは母ひとり子ひとりの生活をしていたんだが、あることをきっかけに状況が一変する』
"健吾、私にも話させてよ"と良美さんがカモミールを一口飲んで話し始める。
『長男の亮輔くんがね、事故で車椅子になってしまったの。跡継ぎが車椅子では具合悪いと感じた信夫さんは、私と別れて程なく浮気相手と4回目の結婚をするんだけど3年以上子宝に恵まれなかったらしくて、焦っていたんだろうね。健吾を引き取りたいって言ってきたのよ』
「何だか、勝手な話ですね」
『と、思うでしょ?ところが当時の私には願ったり叶ったりな話だったのよ』
健吾さんは立ち上がって、良美さんが作りかけの花の1本を手に取った。
『暫くは母ひとり子ひとりの生活をしていたんだが、あることをきっかけに状況が一変する』
"健吾、私にも話させてよ"と良美さんがカモミールを一口飲んで話し始める。
『長男の亮輔くんがね、事故で車椅子になってしまったの。跡継ぎが車椅子では具合悪いと感じた信夫さんは、私と別れて程なく浮気相手と4回目の結婚をするんだけど3年以上子宝に恵まれなかったらしくて、焦っていたんだろうね。健吾を引き取りたいって言ってきたのよ』
「何だか、勝手な話ですね」
『と、思うでしょ?ところが当時の私には願ったり叶ったりな話だったのよ』