愛されることの奇跡、愛することの軌跡

『それを言うなよ。あの頃は、済まなかった』
『そうだよ。つい最近までは、どっか辛気臭い雰囲気があってさ、ずっとこのままなんじゃないかとテツと心配してたんだぞ』

そう言うと椅子に寄りかかって足を組んでいたマサさんが、姿勢を良くして、突然改まった。

『健吾、玲奈ちゃんはお前より7つ歳が下だ。しかもお前が担任するクラスの生徒でもある』

そうか、健吾さんはシン兄ちゃんと同じ歳なんだ。

改めて言われると、年齢差を感じてしまって私はすこしうつむいた。

『けどな、だからってお前は玲奈ちゃんに対して変に年上ぶる必要はないし、玲奈ちゃんも年上であるコイツへの遠慮は一切必要ない』

マサさんの言葉に、黙って聞いてる健吾さん。

何を思っているのか気持ちが読めない。