愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「あの…過去に何があったか知りませんけど、私、そんなに心移りをすぐしてしまう人間に見えますか?」

持っていたカップを私は置いた。

「確かに私はお二人より精神年齢が低いかも知れません。でも、どんな健吾さんであっても、役に立ちたいと思う気持ちは、誰にも負けません。でも、恋愛経験もなく、当然、健吾さんへの正しい接し方…ううん、愛し方が分かりません」

私はマサさんの目を見た。

「それでも、私は私なりにその愛し方を自分の力で見つけようと思っています。そのためには、健吾さんと同じ土俵に立てるだけの大人にならなきゃいけない」
『玲奈、生き急ぐなよ』

健吾さんは静かに語り始めた。
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