愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『けど、その"傷"は全く癒えないどころか、心の穴が、大きくなる一方だった。空しくて…空しくて…玲奈、最低だろ?俺は、多くの名前も知らない女性を誘って、性の捌け口にしてきたんだ』

こんな話をされたら、普通の女性なら健吾さんの頬を一発引っぱたいてるかも知れない。

でも、私は全く腹が立たなかった。

それどころか、話しながらうなだれる健吾さんのことを、抱き締めたくなっちゃった。

マサさんもいるし、テーブルを挟んでるから無理なんだけど。

身に詰まされて、涙が出てきた。

『泣くなよ、玲奈。こんなみっともない話で泣くなんて、涙がもったいない』

そんな健吾さんだって、目が真っ赤じゃない。
< 168 / 548 >

この作品をシェア

pagetop