愛されることの奇跡、愛することの軌跡
しばらくすると健吾さんは、私の正面に胡座をかいて座り直した。

『玲奈、俺が治してやるよ、お前の傷を』
「傷?私に傷があるの?」
『あぁ、大アリだね。でも治療するには、ちょっと準備がいる。少しだけ、時間をくれないか?』
「私は、何をすればいい?…何をすれば健吾さんに…した非礼を…許してもらえる?」

私は、もう必死だった。健吾さんに嫌われちゃう。泣いても泣いても、なかなか止まらず、泣きすぎて呼吸をするのも辛い。

でも健吾さんは、私に微笑んだ。

『玲奈は、今はまだ何もしなくていい。準備が出来たら、俺の言うことを素直に聞け。それと、5日のデートは俺と楽しんで欲しいな』
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