愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『玲奈、ここには玲奈と俺しかいない。お父さんだって、実際の行動を見た訳ではない。俺に、あの時の出来事を話して貰えないだろうか』

私は、声を出すことも出来ないでいた。

『俺、突き飛ばされたままなんだよ?結構、いや、かなり傷ついてるんだけどなぁ。せっかく、これからの俺の人生を玲奈と一緒に歩みたいのに、これでは一歩も踏み出せない。玲奈の過去も、一緒に背負いたいんだ。ね?』

健吾さんはそう言うとニッコリ笑った。

「な、何から話せばいいの…?」
『その出来事は、いつの話だ?』
「小学校4年生の11月の終わりくらいだと思う」

そう。11月の終わりになるとニューヨークはもう寒くなってきていた。
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