愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『これは、お父さんから聞いたのと、俺のルートに置ける調査結果をもとに、推測を交えた話だ』

そう前置きして、私の手を握ったまま話始めた。

『玲奈が気を失ったのは、原口がクロロホルムの液体を染み込ませた布を玲奈の口に当てたせいであることがその後の血液検査で判明している』

そうだ、何かで口を塞がれた、あの時。

『たまたま体育館から出てきた原口を他の先生が目撃し、不信に感じて鍵のボックスを確認すると、用具倉庫の鍵をちょうど原口が返却するところだった。その日は体育館を使用するような用途はないはずなのに』

あの日は元々午前中で授業は終わりで、全員下校させられたんだ。

『その日は午後から学校の電気設備の法定点検があるために、生徒を帰した上で立ち会う先生以外も勤務は終了の予定だった』

健吾さんって、どこまで頭がキレる人なんだろう。
言葉によどむことなくスラスラ何も見ないで言えるなんてすごいよ。

『体育館だけは電気系統が違うので、設備会社と一緒に立ち会う先生も体育館に移動したところで原口と遭遇したらしい。点検は、職員室をまだ使っていた先生がいたから予定を変更して体育館設備と校舎の設備と点検時間を入れ替えて当初より大分早くなったそうなんだ。そこで最初の話と繋がるんだけど、その先生は一旦職員室に戻り、鍵を返却していた原口を見てさらに不審に思った』
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