愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『俺はその行為を冒涜していた最低な人間だから、玲奈とこの先に進むのが正直怖い。けどな、俺は玲奈をこの手で大人にしたいし、それがお父さんの願いでもあるし』


お父さん。


そう言えば健吾さんがうちに来て初めて夕飯を一緒に食べた日。


"健吾くんの手で玲奈を一人前の大人にしてもらえないだろうか"


と健吾さんに言った言葉の真意は、そんな部分も含まれているのだろうか。


『お父さんはきっと、玲奈が男性に恐怖心を抱いていることに気づいていたんだと思う』


そう。


私は、たくさんの人間に告白されたけど、誰1人として靡かなかった。


シン兄ちゃんは大好きで、私がいくら言ってもあちらは靡いてくれなかったけど。


シン兄ちゃんへの思いも含めて私が封印していた男性恐怖症から逃げるための無意識な行動だったんだろうか。
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