愛されることの奇跡、愛することの軌跡

5月14日の日曜日に行われた【区民まつり】は、公園に特設のステージを作り、毎年お昼過ぎの時間帯にナルガク高等部吹奏楽部が演奏するのが恒例になっている。


指揮は部長がやるので、パーカッションの原くん。


健吾さんは客席の最後尾から見守っていた。


天気も良かったし、割りと人気なJ-popを選曲したせいか、盛況のうちに私達の出番は終わった。


公園から学校に楽器を運搬し、全ての片付けが終わったところで、健吾さんが全員を集めた。


『今日はみんなお疲れ様。演奏、今日が一番素晴らしいものだったよ。3年生はこれを持って引退だ。これから自分の目標の進路に向かって大変だと思うけど、頑張って欲しいし、残るみんなも、戦力ダウンなんて言われないように、再来月のコンクールに向けて頑張って欲しい。以上』


そう言うと健吾さんは出ていった。