愛されることの奇跡、愛することの軌跡

私は健吾さんの言う通りに、放課後良美さんのアトリエに行って、健吾さんを待ちつつ勉強させてもらうことにした。


「すみません、良美さん」


『いいのよ。作業があるからあんまり玲奈ちゃんのお相手できないのが残念だけど、玲奈ちゃんも勉強あるみたいだし、ちょうど良さそうね』


"あ、そうだ"と、お茶を準備してくれた。


『ほら、今日はちゃんと用意したの、ジャスミンティー』


カップから出ている湯気から、いい香り。


『本当は前回玲奈ちゃんが来る前から健吾に言われていたんだけど、用意が間に合わなくて、やっと出せたわ』


良美さんはそう言ってニッコリ笑うと"勉強頑張って"と言いながら私のいる事務所を出ていった。


しばらくすると、健吾さんが事務所に入ってきた。


でも時計を見ると、2時間ほど経過している。