愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「いいよ、そのくらい私やるよ」


『ダーメ。でも1人で座らせておくのは心配だから、俺の後ろについてきて』


私は健吾さんの言う通り、後ろについて行った。


結局、トイレ以外はずっと至近距離。


ほとんど手を繋いでいたし。


『前から思っていたけど、玲奈の手って柔らかいね』


なんて微笑むもんだから、もう、今日もドキドキだよ。


車は最初こそ混んでいたけど、ある程度走ったところで空いてきて、快適に飛ばしている。


『今日は、まずは人と会う』


しばらく沈黙だった車内の空気が、健吾さんの声で変わった。

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