愛されることの奇跡、愛することの軌跡
ガン?


若すぎるよね。


相楽先生は絶句してる。


『ですから、ある時にガンの告知を受けて、将来への不安から、勃起不全に陥ったと考えられなくはないですか?』


『そんな…』


『原口先生から、他の女性の気配はしましたか?』


相楽先生は首を振った。


『きっと、獄中死までの時間の短さを考えると、相楽先生とケンカをするずっと前の段階で、原口先生は自分でガンであることは分かっていたと思います』


ガンで余命宣告をされていたであろう原口先生。


相楽先生を愛し続けることが出来ず、体はどんどん弱っていくのを感じていた。


そして、相楽先生が自分に思いを残されたままこの世を去ることを、心苦しく思った。


そこで原口先生は考えた。


相楽先生に徹底的に嫌われようと。
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