愛されることの奇跡、愛することの軌跡
浮気するのが一番いいが、勃起不全な自分の状況では難しい。


そこで、よりインパクトのある"嫌われ方"として思い付いたのが、自分の生徒への淫行だった。


『玲奈が原口先生のターゲットになった理由は、玲奈のお父さんのニューヨークでの駐在期間がその翌年の3月までと聞いていて、これから長く日本人学校にいる生徒より、間もなく日本に帰るだろうと思われる生徒の方が、本人への影響が少ないと考えたんだろうな』


健吾さんは、真っ直ぐ相楽先生を見た。


『原口先生は、浮気はしていない。ただ、あなたを思うばかりに取った行動が突飛すぎて…でも、玲奈にしたことはやっぱり許されることではないと思います』


私を見ながら健吾さんは話す。


『僕が今言ったことは、原口先生がガンで獄中死したこと以外は"死人に口なし"憶測の域は越えませんが、あの出来事に少しでも訳があるのなら、今のようにこじつけるのも、ありだと思うんです』
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