愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「私は、何をしたらいい?」


『何もしなくていい。ただ、俺の側にいてくれればいい。まずは、墓参り』


「墓参り?原口先生の?」


『あのなぁ。俺の話なのに何でそこで原口が出てくるんだよ』


「あっ、そうか」


健吾さんが毎年来ている安曇野なのに、確かに原口先生は関係ない。


『今から行くのは…俺がかつて愛していた人のお墓』


やっぱり。


何かそんな予感がしたんだ。


健吾さんには忘れられない女性がいるんだと言うことを、テッちゃんやマサさんの話からも感じ取れた。
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