愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「ここに泊まるの?」


『そうだよ』


車は一番奥のコテージの前に止まった。


『さ、着いたよ。降りて』


健吾さんは私の荷物も全部持って入口に向かう。


「ねぇ、ここ貸別荘だよね?だとしたら、夕飯の食材とか飲み物とか買わなきゃならなかったんじゃない?」


『ご心配に及ばず』


健吾さんはニッコリ私にそう言った。


鍵を回してドアを開けると、もう日が暮れかけているので部屋は真っ暗。


健吾さんがスイッチを入れると、玄関ホールにドアが2つ。


『左のドアはトイレとバスルームだから』


健吾さんは正面のドアを開けて"さぁ、どうぞ、お嬢様"と、私を先に部屋に入れる。


けど、やっぱり、真っ暗で何も見えない。

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