愛されることの奇跡、愛することの軌跡
ここは金澤玲奈、勇気を出して、えぇい、着てやれぇ。


リビングに戻ると、健吾さんがドライヤーで髪を乾かしてくれた。


『そのバスローブ着ると、ますますウサギみたいだよ』


と耳元で囁かれ、健吾さんは"俺もシャワー浴びてくるよ"と、バスルームへ向かった。


健吾さんがバスルームにいる間に私は家に電話をかけた。


出たのはお父さん。


「お父さん?」


"あぁ。玲奈、疲れてないか?さっき健吾くんからも電話を貰ったよ。健吾くんに、大事にされなさい"


「うん」


短い電話。


健吾さんも私がバスルームにいる間に電話かけてたんだね。


お父さんの"大事にされなさい"の言葉には、それ以上の意味があるような気がした。


普通、娘の貞操の危機、なんて普通のお父さんなら怒りそうなのに。


違う意味でお父さんは心配してるんだ。
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