愛されることの奇跡、愛することの軌跡
そして、ひとつになった時、猛烈な痛みが伴った。と、同時に違う感覚も覚えて、その感覚に不安を覚えて私はずっと健吾さんを見ていた。


健吾さんはその瞬間、驚くような表情をしたのち、耐えるように目をつぶった。


『大丈夫か?痛い?』


「健吾さんこそ、ツラそうだよ」


『俺は大丈夫だ。それより玲奈、せっかく英語を使ったのに、日本語に戻したら元通りか』


「え?」


何のことだろう?


『俺の呼び方。英語なら"さん"が抜けると思って使ってみたのに』


「そういうこと、か」


私、健吾さんの彼女だもんね。


年も違うけど…


『俺は常に、玲奈と同じ立ち位置にいたいから、"さん"なんていらない』


「うん」
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