愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「みんな、良い演奏してたよね」


最寄り駅に向かって歩いていた私は、上杉くんにそう言った。


『ウソつけ。演奏なんて聴いてなかっただろ?』


ウソ。上杉くん、何で分かったの?


私が返事に戸惑っていると、上杉くんは


『この後、時間ないかな。話したいことがあるんだ』


上杉くんが誘ってくるなんて初めてだったから、よっぽどの話があるのだろうと思い、私は快諾した。


やって来たのは、ファミレス。


上杉くんと向かい合わせで座ると、カップルみたい、と少し考えてしまったのは、上杉くんの彼女がうるさいから伏せておこう。


『なぁ、玲奈』


突然名前で呼ばれて驚いた。
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