愛されることの奇跡、愛することの軌跡

「ちょっと、名前で呼ばない約束だったよね」


『もういいよ、そんな約束』


私達は、元々"玲奈""陽平"と呼び合っていた。


ところが、上杉くん…陽平の彼女のこのみちゃんに誤解を与えてしまう結果となり、別に私達は疚しくないけど、陽平の"このみの不安要素を取り除きたい"という希望を私が承諾して、"金澤""上杉くん"という呼び方に変えた経緯がある。


当時はピンと来なかったけど、今ならこのみちゃんの気持ちがよく分かる。


健吾が女友達と仲良くしていて、慣れ親しんだ呼び合い方だと、どんな関係だって嫉妬してしまうだろうから。


「"もういいよ"って、ちょっと、このみちゃんと別れたの？」


だって、それしか考えられないじゃん。


『ほら、やっぱりそういうことになるでしょ？玲奈にアイデアなんて浮かぶわけないよ。全く何考えてるんだか、あの人』