愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ひとりしかいないでしょ。橋本先生だよ』


え?健吾?


何で健吾が陽平にそんな指示を?


『コンクールがなければ、お前は勉強があるからって断るだろ?』


「でもケン…先生の誘いだったら断らないよ」


と言ったところで"ハッ"となった。


まずい、陽平の前でこんなことを言ったら、陽平に勘づかれる。


自分の口を抑えた私だけど、陽平は落ち着いていた。


『大丈夫だよ。先生と玲奈の関係は、全部知ってる。ついでに、先生が成瀬川の次男だと言うことも』


「うっそ!」


何で陽平が知ってるの?


『事の発端は、このみに舞い込んだ結婚話』


「結婚?」


だって、このみちゃんは私達よりひとつ下の、アール女学院に通う高校2年生だよ。


結婚なんて…
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