愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ねぇ、健吾ぉ』


玲奈が俺のTシャツを引っ張った。


「ん?」


『何ボーッとしてるの?』


ちょっと昔を思い出してしまった。


「俺がナルガク高等部の時、どう過ごしてたのかな、と振り返っていたら、ボーッとしちゃったね、ごめん」


『でも、健吾が現役で東都に受かったと言うことは、ナルガクのその雰囲気に打ち勝ったってことだよね』


「結果的にはな…」


『私も頑張らなくちゃ』


玲奈はジャスミンティーを一口飲んだ。


「玲奈は東都の文ニを目指すの?」


『うん。経済学部に行きたいから』


「そうか」


玲奈は既に俺を軽く超えているような気がするよ。


『うちのクラスで外部進学を目指すのは、あと誰?』


「上杉と大森だよ」


『やっぱりユウコちゃんもなんだ』


「まぁ、上杉は東都大の理三志望だけど、大森は星恵大の法学部志望だな」
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