愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ご納得頂けないのなら、改めて別の機会を設けて経緯を説明いたします。今は授業中です。お引き取りください』


『私は忙しいの。だから今知りたいの。学院長も学年主任もいないし、担任のあなたに聞くしかないでしょ』


『お母様、やめて!』


『ユウコは黙ってなさい!大体、主人がもの分かりが良すぎなのよ。主人は騙せても、私は騙せませんから』


健吾は、黒板に向かうと、文字を書き始めた。


"厚顔無恥"


と。


『な、何ですか?』


『私はあいにく絵心もないですし、あなたに首尾良くお帰りいただくための巧みな話術も身につけていません。だから、あなたのことを文字にして表しただけですよ』


『は?ちょっと私を馬鹿にしているの?』


『この言葉、読めて意味がわかるかな?上杉』
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