愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『こうがんむち。厚かましくて恥知らずなさま。他人の迷惑など構わず、自分の都合だけで行動すること』


『ご名答。大森さん、ここにいる34人と娘さんに迷惑をかけても、今知りたいのですか?あなたはここにいる生徒たちの授業を受ける権利を、あなたの知りたいと言う欲だけで、奪おうとしているのです』


『お母様、もうやめて。私にこれ以上恥かかせないで』


『分かったわよ!後で、日時と場所、娘に伝えてちょうだい!』


そしてユウコちゃん母は、また乱暴にドアを閉めた。


しばらく沈黙の時間があった。


健吾は、どうするつもりだろう。


『さて、どうするか?これ、やるか?』


"これ"と言うのはさっきみんなで書いた夏休みの思い出のキーワード。


『まぁ。これは別の機会にするかな。楽しくなくなっちゃったし。大森、みんなに何か言うことないか』


すると、ユウコちゃんは立ち上がった。


『あの、私は…』


ユウコちゃん、そこから黙ってしまった。
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