愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ただ、今回のことは、大森のご両親へのフォローが足りなかった部分もあったかもしれない。みんなに不快な思いをさせてしまったことは、俺からもお詫びする』


『あのお母さん、手強そう』


陽平の前の席にいる入江くんが言う。


『娘の進路がかかっているんだ。必死にもなるだろ』


健吾は教師らしくフォローする。


『いえ、私がきちんと説明します。もし、納得してもらえなかったら、三者面談の設定をお願いします』


ユウコちゃんが着席したまま健吾に伝えた。


『分かった。くれぐれも穏便にな』


『はい』


ユウコちゃんの表情は後ろの席の私からは見えないけど、背中が悲しそうに思えた。
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