愛されることの奇跡、愛することの軌跡
愛の重さか…確かに健吾は実穂さんの言う通り重いけど、それはそれなりの理由があるからね。


『今の彼女は、やっぱり過去と一緒でどっぷりハマってしまってるけど、彼女は割りと自己を主張するタイプな分、適度に距離が保ててるかな。俺自身が大人になったのもあるかも知れないけど』


『彼女は、社会人の方、ですか?』


『いや、実はまだ学生なんだ。今は夢に向かって勉強中』


私のことなんだけど、割りと抽象的な表現に留めてる。


『だから吉住、悪いけど、俺はその彼女以外、考えられないんだ。死ぬほど大好きでさ、失恋したこともすっかり忘れていて。もう一生、彼女といると決めてるし。彼女以上の女性は絶対現れないというある意味自信があるから』


『相当、素敵な方なんですね、彼女さん』


『あぁ、可愛いね。照れ屋さんだから、人前には出てこないけどさ』


何か、恥ずかしくなってきた。


けど、最後の一言は、多分健吾が保険で言ったこと。


"彼女に会わせて"と言われても、ごまかせるようにするための嘘だ。


私、人前に立てないほど照れ屋じゃないし。
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