愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『文化祭の演奏、頑張ろうな。じゃぁ、俺は、職員室戻るから』


『橋本先生、恋バナ、ごちそうさまでした。私、新たな一歩を踏み出せそうです』


あ、ヤバい。


こっちに来る。


私は昇降口の靴箱の後ろに隠れた。


健吾はそのまま階段を昇って行ったけど、カオリちゃんはこっちに来た。


表情を見ると…清々しい顔をしていた。


よかった、傷ついてなさそうで。


カオリちゃんがいなくなったのを見計らって、私も昇降口から外に出た。


校門を出たところで携帯が鳴った。


電話?

健吾からだ。



"今どこ?"


「校門出たところだけど」


"少しでいいから会いたい。良美さんのところに行って待っててもらえる?すぐ行くから"


「分かった」


私も会いたかった。


いや、正確には会ってるんだけど、違う。


そうじゃなくて…健吾の"彼女"として会いたい。


良美さんのアトリエは校門の斜め向かいだからすぐ着いちゃう。


アトリエに来たの、久々だなぁ。
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