愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「こんにちは」


『あら、玲奈ちゃん、お久しぶり。もしかして、健吾も来る?』


「はい」


『なら良かった。今日は明日お式のお客さんが8組いるのでてんやわんやなのよ。私、あなたたちに構うことはできないけど、事務所を自由に使ってもらって構わないから』


「お忙しいのにすみません。事務所にいて、お邪魔はしませんので」


花の山から目線を私に移して良美さんは


『気にしないで。私はどんなことがあっても健吾と玲奈ちゃんの味方だから。しかも、今は私が構わない方が、ふたりには好都合なんじゃないの?』


「いや、そんな」


私はそれ以上長居せず、事務所に入った。


応接で明日のタイムテーブルが書かれた紙を見ていたら、健吾が入ってきた。


いつもはスーツだけど、今日はデニムのシャツにジャケット姿だから、ちょっとラフだ。


『ごめんな、急に呼び出して』


「いいの。タイミングがちょうどよかったし」


そう、絶妙なタイミングの電話だった。
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