愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『上杉、今日はどうだった?』


『やるだけのことはやりました』


『後悔がないなら、いいな』


『俺の結果、このみも気にしてます』


あれからこのみちゃんのお父さんの会社であるエフプリント工業は、二度目の不渡りを起こし、結局倒産した。


従業員やお父さん自身がどうなったかは知らないけど、このみちゃんについてはアール女学院には卒業までいられることになった。


「このみちゃん、大学はどうするの?」


『看護大学は奨学金制度がきちんとしてるから、それを利用すると言ってる。まぁ、来年の話だけどね。でもさ、俺達の夢を叶えるにしたって、俺が1つ年上でも医師としてのデビューはこのみの看護師デビューより遅れるわけなんだから、まずは現役で合格したい』


陽平たちの夢は立派で壮大だ。


私もこのみちゃんが思う陽平のように、健吾のそばで役に立ちたい。


私は健吾と7歳違うから、それだけでもハンデだ。


だから早く、健吾に追い付くには、私も現役で受かりたい。
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