愛されることの奇跡、愛することの軌跡
それ、私も聞いてみたかったこと。


2年間だけ許された自分の夢のタイムリミットを、小学校教師という職業を全うする時間に充てるのには、それ相当の理由があると思ったから。


健吾はゆっくり口を開いた。


『今はもう退職していないんだけど、ナルガクの初等部の頃の担任だったある男性の先生がいてね…』

その頃の健吾は、ワガママ放題だった。


何をするにも優先され、各先生のえこひいきも度を超えていた。


初等部5年生の時、担任になったその先生は、どんな生徒も平等に扱い、健吾も例外ではなかった。


給食は好きな物しか食べないので全部食べさせるため居残り。


プールの授業が嫌だとサボろうとするが、体操着に着替えてプールサイドの掃除をさせる。


これまでは許されたワガママをその先生は全く許さなかった。


"健吾君、君は他の子よりだいぶ悪い子だよ。先生が教えてあげるから、早くみんなと同じようにいい子にならなくちゃ"と言われ続けるようになった。
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