愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『皆さん、お仕事の手を休ませてしまい申し訳ありません。私が一年受け持たせて頂いた3組から、二人の東都大の合格者を出すことが出来ましたのは、ひとえに教科担任…金澤は数学の加納先生、上杉は英語の徳重先生にそれぞれのウィークポイントをフォローして頂き、さらにその他の先生方にも沢山のご支援を頂きました。皆様には厚く御礼申し上げます』


健吾は深くお辞儀をした。


『ただ、このような喜ばしき結果になったのは、何より本人たちの努力と情熱であり、それを凌駕できるものはないと僕は思います。しかし、このふたりはまだ道半ばです。東都大に入ることは、まだ山登りの中腹に過ぎず、通過点です。ナルガクはもう卒業しましたが、これからも引き続き、彼らの応援を、よろしくお願いいたします』


健吾は再びお辞儀をした。


拍手喝采。


突然挨拶を求められたのに、どもらず噛まずによくスラスラ言えるものだと感心する。


家に帰って、お母さんがいつもより大分豪勢な夕食。


お母さんがうるさいので、健吾を誘ったら、8時頃に来てくれた。
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