愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「大丈夫なの?調査票」


『玲奈が心配することじゃないよ。それに、玲奈のお祝い、参加したかったし』


健吾はそう言って唐揚げを頬張った。


『健吾くん、玲奈たちが卒業しても忙しいの?』


お母さんが健吾に聞く。


『はい。大学側に生徒の調査票を提出しなければならないんです。どんな生徒でどんな成績だったか、細かく記載しなければならなくて、今はそれに追われてます。玲奈のように外部進学する生徒は作る必要ないのですが、うちの場合はほとんどが内部進学ですから』


『でも、それをやった後は休む暇もなく龍成社なのかな?』


お父さんが健吾に聞く。


『はい。でもすぐに後を継ぐわけではなくて、僕は経営学も学んでないですし、そもそも出版業界においては全くの素人なので、いち社員としてしばらく修業をします』


「単なるサラリーマンになるんだよね」


『ま、そんなところかな』


健吾がサラリーマンかぁ。


何だか想像つかないけど、その先にはさらに社長というポストが待っている。


それって、相当なプレッシャーじゃないのかな。
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