愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『だから、今月いっぱいは、教職を全うしたい。けど…』


健吾は背中を向けていた体を私に向けて、そのままドアの前にいた私を抱き締めた。


『東都大に合格した喜びが、一番強いのは結果が出た今日だろうし、今日という日は今日しかないから、ふたりきりの環境で担任としてではなく、玲奈の彼氏として言いたい』


健吾は私の体を離し、両肩にてを置いた。


『合格、本当におめでとう。心から玲奈の努力を尊敬するよ』


「ありがとう」


私には、言葉もいいけど、もっと欲しいものがあった。


「健吾、キスして」


私のおねだりに健吾は微笑んだ。


『あげるつもりだったよ』


健吾はそう言い終えると私の体をドアの脇の壁に寄りかからせ、深くキスを落としてくれた。


「私が大学生になっても、たくさんキスしてくれる?」


『もちろんだよ。それ以上もね』


その二言が終わると、またいつまでも、いつまでも、キスを交わしていた。
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