愛されることの奇跡、愛することの軌跡

『今度の土曜日さ』


どれくらい唇を合わせていたのか、離れたとたんに健吾が最初に発した言葉。


土曜日は、謝恩会の日。


健吾は所用で出られないと言っていた日。


『謝恩会って、17時には終わるだろ？』


「うん」


『その後、うちに…実家に来てもらいたいんだ。実は明日から、2泊で龍成社の研修に参加することになってて、土曜日に帰ってくるんだよね』


「調査票は？」


『あとは木内の分だけだから、テツに投げてきた』


美郷の分を？


「それって、いいの？」


『アイツが書きたいって言ったんだよ。需要と供給がうまくいったの』


「そう言う問題じゃないでしょ」


『でも、アイツのおかげで今こうしていられる』


と、飽きずに私達は唇を重ね続けた。