愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「イッちゃんは健吾が来ることを知ってたの?」


『うん。教えておいたよ。玲奈は先生に憧れてるから最後驚かして一緒に演奏させたら、喜ぶだろうから、って適当に言っておいた。まぁ、会場の女子たちには抜群のサプライズだったみたいだな。おっと、俺は玲奈のナイトにならなきゃ』


「ナイト?」


『あの人に頼まれたの。玲奈に変な虫つかないように監視してろって』


「変な虫って…」


『あの人は、相当独占欲が強くてヤキモチ焼きが激しいからね』


「私が今、ヤキモチだよ」


"メアド教えて""チョーカッコいいじゃん"


など、色んなセリフが音声多重。


すると、後ろから声がした。


『ねぇ、お前ら、付き合ってるの?』


振り向くと、同じクラスだった三浦くん。


『もし違うなら、金澤をちょっと借りたいんだけど』


『理由によるかな』


陽平は彼と目を合わせて、落ち着いた口調で言う。


『それは上杉が彼氏ということで捉えていいのかな。いいよな、東都大同士はさ』


それまで私に視線を送っていた三浦くんは、それを陽平に移した。
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